読まなくてもいい前置き
かつて、高倍率ズームレンズは便利さと引き換えに低画質なのが当たり前でした。 しかしミラーレス時代になり、フランジバックが短縮されたことで、レンズの工学設計・メカ設計ともに自由度が大幅に増したことで、この状況は覆りました。 35mmフルサイズフォーマットにおいて、高画質な高倍率ズームレンズの嚆矢となったのがタムロンの28-200mm F/2.8-5.6 Di III RXD(以下A071)でした。 Eマウントでは純正の24-240mmなどを抑えて高倍率ズームレンズの決定版となったA071ですが、2025年秋に、ようやく王座への挑戦者が現れました。
挑戦者はシグマの20-200mm F3.5-6.3 DG(以下20-200DG)。20-200mmの10倍ズームという驚異的なスペックで王座に挑みます。 対するタムロンもA071を25-200mm F/2.8-5.6 Di III VXD G2(以下A075)にモデルチェンジすることを発表。日系二大レンズメーカーの激しい戦いが始まりました。
かくいう私もA071を長年愛用しています。 決定版とも言うべき存在だったA071の後継モデルとその対抗馬には大変な関心を持ちました。 だれかがすぐに比較表を世に出してくれるとは思いますが、折角なので自分で表にまとめてみました。
諸元比較表
- タムロン A075の最大撮影倍率にワイド端であることを追記しました。
- Eマウントにタムロン 28-300mm F/4-7.1 Di III VC VXD(以下A074)を追記しました。
- Lマウントの表を追加しました。
- Lマウントの表にパナソニック LUMIX S 28-200mm F4-7.1 MACRO O.I.S.(以下S-R28200)を追記しました。
| Eマウント | タムロン A071 | タムロン A075 | シグマ 20-200DG | タムロン A074 |
|---|---|---|---|---|
| 焦点距離 | 28-200mm | 25-200mm | 20-200mm | 28-300mm |
| 対角画角 | 75°23'-12°21' | 81°44'-12°21' | 94.5°-12.3° | 75°23'-8°15' |
| F値 | 2.8-5.6 | 2.8-5.6 | 3.5-6.7 | 4-7.1 |
| 最短撮影距離 | 0.19m-0.8m | 0.16m-0.8m | 25cm-65cm, 16.5cm@28mm | 0.19m-0.99m |
| 最大撮影倍率 | 1:3.1-1:3.8 | 1:1.9-1:3.9 | 1:2(28-85mm) | 1:2.8-1:3.8 |
| フィルター径 | 67mm | 67mm | 72mm | 67mm |
| 長さ | 117mm | 121.5mm | 117.5mm | 126mm |
| 最大径 | 74mm | 76.2mm | 77.2mm | 77mm |
| 重さ | 575g | 575g | 540g | 610g |
| ヨドバシ価格 | 85,800円 | 128,700円 | 143,000円 | 137,500円 |
| Lマウント | シグマ 20-200DG | パナソニック S-R28200 |
|---|---|---|
| 焦点距離 | 20-200mm | 28-200mm |
| 対角画角 | 94.5°-12.3° | 75°-12° |
| F値 | 3.5-6.7 | 4-7.1 |
| 最短撮影距離 | 25cm-65cm, 16.5cm@28mm | 0.14m-0.65m |
| 最大撮影倍率 | 1:2(28-85mm) | 1:2@28mm |
| フィルター径 | 72mm | 67mm |
| 長さ | 115.5mm | 93.4mm |
| 最大径 | 77.2mm | 77.3mm |
| 重さ | 550g | 413g |
| ヨドバシ価格 | 143,000円 | 118,800円 |
データ元
注意事項
- A075の緒元が公開されたので、表を更新しました。
- 有効数字の変動が誤解を招きかねないため、画角や最短撮影距離の単位はあえて統一していません
感想
まず、シグマ 20-200DGのワイド端20mmには大変な価値があります。 タムロンもモデルチェンジしてワイド端25mmとしましたが、対角画角でいうと80°少々※と94.5°になりますから、10°以上の差があります。 20mmでなければ撮れない絵は確実にあるので、20mmが必要な方はシグマ一択になるでしょう。
※既存の公称焦点距離25mmのレンズの画角から類推した値
画角以外の点を見てみても、A071よりは20-200DGのほうがほとんどの点で優れています。 28-200mmをベンチマークにして開発されたのだと思います。 数少ないA071/A075の明確なメリットはフィルター径が67mmであることでしょうか。 私もそうですが、ソニーEマウントにはフィルター径67mmの優れたレンズが多数あるため、67mmというフィルター径は特別な意味を持ちます。 レンズフィルターを買い直すとなるとバカにならない出費になりますからね。
以上から、今のところは20-200DGが優位だと思います。
20-200DGは絞り開放のMTFだとやや苦しそうですが、サンプル画像を見た限りでは問題なさそうに見えました。 (撮影条件での収差変動や収差の目立ち具合の問題があるので、実際に問題がないかどうかは使ってみないとわかりません)
A075が正式に発表されて予価が公開されましたが、思った以上にA075と20-200mmの価格差が少なかったです。 すでに20-200mmは初回入荷分が完売していますが、この流れが続くのではないかと感じました。