はじめましての方も、そうでない方も、ごきげんよう。
えとねるんには時折出没しているものの、あまり長文などを投稿しているわけでもないので、こういうケースは初めてだったりしますが、せっかくAdvent Calendarに参加することにしたので、たまには自分の好きなものについて延々語ってみたいと思います。
今回は、ここ2年ほど自分がちょっとずつやっているテレビゲーム、「バトルガレッガ」について。
バトルガレッガ とは?
そもそも「なにそれ」という方も多いと思いますので簡単に概要を…
- 1996年にリリースされた、アーケード用ビデオゲーム
- ゲームとしてのジャンルは、縦スクロールシューティングゲーム
- 得点稼ぎのギミックが非常に熱く、一部のスコアラーの間でカルト的な人気を誇ったそうです(※当方は、これまで存在と名前程度しか知りませんでした)
- 2016年に、PS4/Xbox One向けに新たに移植版がリリースされました
言ってしまえば、数あるレトロゲームのひとつというだけです。 なんでまたそんなゲームに急に興味を持ったかと言いますと、コロナ禍でおうちに引きこもっている中で、YouTubeなどを適当に見ていたところ、とあるゲームセンターが休業中のゲーム配信でバトルガレッガを取り上げており、それを見て非常に興味が出た、というのがきっかけでした。
何がそんなにすごいの?
素晴らしい音楽
まず自分が興味を持ったのはその音楽です。1996年発売と、これを書いている今からは30年近く前の作品になるわけですが、今聞いてもまったく古さを感じないどころか現代音楽に負けず劣らず尖りまくっているサウンド群。ジャンルで言うとデトロイト・テクノに分類されるようですが、ガンガン響くテクノサウンドのみならず、ちょっと落ち着く・おしゃれなハウス調のステージ曲もあったりして、まさに全編が聞き所。これに関しては文字での説明には限界があるので、興味が出た方はぜひ下記の家庭用版公式ステージ紹介動画などでぜひ聞いてみてください!
なお、わたしのお気に入りは、1面の曲と、4面の曲と、6面の曲と、空中ボスの曲。1面の曲は、ゲームの開始にあたり誰もが聞く曲となるわけですが、プレーヤーの気持ちを鼓舞するのにふさわしい名曲です。4面の曲は、先ほど挙げたおしゃれハウス。超好き。わたしは4面の曲を聴くためにこのゲームをやっているのではないかという気さえします。また6面であるとか、ボス曲については、当然ゲームとしての難易度も熾烈となる場面でもあり、緊張感を盛り上げるのにも一役買っています。そういったゲーム本編との一体感も含めて、本作は本当に素晴らしいBGMが揃っています。
狂気的とも言えるゲームシステム
このゲームを話題にするにあたりどうしても取り上げざるを得ないのが独自のランクシステム=ゲーム内難易度調整システムです。多くのシューティングゲームは、基本的には被弾をせず、頑張って最後まで生き残ろう、というポリシーで進んでいくものと思いますが、このゲームに関しては、基本的にはそのような作りにはなっていません。ランク=ゲーム内難易度は、ありとあらゆる要素によってゲーム開始時から常に上昇を続けていき、敵の発射する弾数や敵の耐久値等々がそれを反映して高まっていく、という仕組みです。その結果、特に敵の数が飛躍的に増えてくる6面くらいからは、素直にプレーしているだけではとても対応できない難易度になってきます。しからばどうするか。ゲーム内ランクを下げるには、自機が死ぬ以外に方法はありませんので、適度なタイミングで死ぬ、ということが必要になってきます。
「それはいいけど、そんなにバカスカ死にまくるわけにもいかないじゃん?手持ちの自機は数機しかないし」ごく当然の疑問です。そこで活用すべき、というか活用をする必要が出てくるのが、ゲーム内の得点を得ていくと、自機が補充される、というシステムです。具体的には、100万点を取るたびに自機が1つ増えます。そのため、ある程度得点を得て、増えた自機の分死んで、難易度をコントロールしていこう、というのがこのゲームの基本姿勢になります。
当然得点を稼ぐにしても相応の技量が求められるわけで、こと自分のような初心者には得られる得点(=自機の数)には限りがあるわけですから、それをどのように活用していこうか、といった戦略性が求められてきます。その辺りの考え方や、具体的な方法論を理解してきて、自分なりの進め方や戦略が立てられるようになると、俄然このゲームはおもしろくなります。必要な知識量、それに応じたその時々の立ち回りなど、シューティングゲームとしてはやけに考えることが多いゲームだと思いますが、その戦略の立て方も人によって違ってくることが多く、奥深さというか懐の深さを内包したシステムであるとも言えましょう。
PS4/Xbox One版の画面。メイン画面のほか、各種ゲームデータが同時に表示できる。右上の「RANKGRAPH」で、ランクも表示できる
と、どうしてもこのように長ったらしい説明が必要になってしまうこのシステムですが、「ありとあらゆる要素によって」上昇するランクシステムにはほぼ数値的な裏付けが取れており、その内容を少し窺い知るだけでも「そんなことまで影響するのか」という狂気的な作り込みを感じられます。変なところでいくと、1プレーが終わって、続けざまに次のゲームを始めると、そのプレーではランクの最低値が少し上がっています=少し難易度が高くなります。おそらくですが、アーケードゲームですから、人が並んでいたりしてたくさんプレーされている状況では、1プレーあたりを難しく=短時間にすることで待ち客の回転を高め収益性を高めよう、といった狙いでこういった設定になっているのだと思いますが、そんなところまで密かにプログラムで調整されているなんて、思わずびっくりしませんか。わたしはこの話を聞いたとき、当然プレーヤー側からすると若干不利になるシステムながらも、そのようなことまで考えてゲーム全体を作っていた当時のプログラマの職人気質に妙に感心してしまいました。
個性的な自機群
飽きない音楽と、奥深いゲーム性、と並んでこのゲームを長くプレーさせる要素になっているのが、自機のバリエーションです。都合8機体が用意されていますが、それぞれに個性があります。移動速度の遅い機体からめちゃくちゃ速い機体、ショットの出方やその性質、ボムの性質…といったあたりで差がありますので、大げさに言うと、8機体それぞれで軽く別のゲームみたいな考え方もできます。
実際、自分も最初にクリアした4号機から、せっかくなので…と他機体でもプレーしてみて、7機体まではクリアを達成しました。せっかくなら残りの1機体もクリアしたい…のですがこれがまた非常にショットもボムも貧弱な機体で(3号機です)、先は長そうだなって思っています…
まあ、何が言いたいかというと、いろんなバリエーションの自機があって、それを使いこなす楽しみみたいなのもあり、これもやり込みに応えてくれますよ、というあたりもこのゲームの魅力です。
自機選択画面。基本は上の4機体。下の4機体は隠しキャラで、同メーカーの前作「魔法大作戦」からの参戦。なぜ前作のキャラクターがそのまま参戦したかというと、バトルガレッガの開発中、プログラマが「自機のグラフィックができる前にいったんゲームを動かしたい」というようなことを言って、仮で実装したキャラが、せっかく入れたから、とそのまま製品版にも継続採用されたという経緯だそう
褒めちぎってはきたけれど
とはいえこのゲーム、欠点も多いというか、とにかく最初はとっつきにくいと思います。
まずランクコントロールを抜きにしても、世間では基本的にはちょっと難しいゲームという扱いです。今「STGの作品別難易度を格付けするWiki」を見ても、全50段階中の26、「中~上級レベル」のカテゴリの中にいるし。実際、シューティングゲームというジャンルにほぼ初めて取り組んだ自分は、最初のクリアまで1年くらいかかりました(そんなゲームにいきなり入るなよというツッコミもありそうですけど) 。
そういう客観的な指標はさておいても、とりあえずクリア目指そうって言ったって求められる知識はいっぱいあるし。そもそも敵弾が背景とかに紛れてめちゃくちゃ見にくいし。一応は「弾幕系シューティング」の走りとされるゲームなので、敵の弾数はそれなりに多いし(ただし現代のシューティングゲームに比べると画面に出る総弾数はずっと少ないです)。ある程度の知識がついたところであらゆる場面でランダム要素が多くて普通にやっていても突然うまくいかなくなることも多いし。7面のボスはそのランダム性も相まって尋常じゃなく強いし。例えばブラックハート Mk.2というボスが7面に出てきますが、こいつの攻撃方法もランダムで決定されますので、機嫌が悪いと残機なんてすぐに吹っ飛んでしまいます。とまあ、いきなり遊ぶにしたってそれなりに障壁があるというか、ある程度の慣れや寛容さがないことにはなかなか大変かもしれないゲームです。
おまけに、このゲームでシューティングゲームを遊ぶようになった人間として本当に思うのですが、バトルガレッガはゲーム性が独特すぎて、このゲームをやっても他のシューティングゲームは全ッ然うまくなりません。これはマジです。汎用的な弾避けスキルなどはほとんど身につきません(そういう要素も皆無ではないとはいえ…)。シューティングゲームの取っ掛かりとしてこのゲームをやってもほぼ取っ掛かりとして機能しません。もしこれを機にバトルガレッガ、ひいてはシューティングゲームに興味を持った方がいらっしゃったら、この点はちょっと念頭に置いたほうがいいかもしれません。
でもそれを補って余りある魅力がある
そう、それを差し置いても、このゲームはプレーしていておもしろいというか気持ちいいのです。
緻密に描き込まれたドット絵。自機でショットを撃つたびに舞い散る火花。敵オブジェを撃った際に散る破片。敵に撃ち込んでいるときの「カタカタカタ…」という細かな音。コアにある「打って避ける」ゲーム性に対してだけでもこれだけのリアクション。
一方で「打って避ける」だけでは終わらせないゲームの設計。ボムでしか壊せない背景のオブジェ。狂気を感じさせるほど細部まで設定された得点ギミック。自爆すら戦略のひとつとさせるランクシステム。敵弾を掻い潜って取得する得点アイテム。高得点アイテム取得時の気持ちいいSE。
個性豊かかつセンセーショナルな攻撃を有するボス群。1面ボスの回転砲台に撃ち抜かれた日。2面ボスの渦巻き弾が避けられずに苦労する日々。3面ボスのパーツ破壊順を覚えた日。5面ボスのワインダー攻撃に度肝を抜かれた日。その法則性を理解して避けられるようになった日。7面で強化版ワインダーに撃ち抜かれ続ける日々。それを見切って初めて避けきった日。一種の壁となるのは間違いないボス達と、それを打ち破るために試行錯誤をし続ける日々。そうさせるだけの敵のカリスマ性。ボスとの戦闘を盛り上げる素晴らしいBGM。
ここに書ききれない内容も多くありますが、こうして列挙した要素だけを取っても、これらを全て高次元に備えている、という点では、またとない傑作ゲームだと思いますし、自分を含めて一部の人間がひたすら遊び続けているというのも、上に書いたような書かないような、不思議な魅力があることの証左なのではないかなと思います。色々考えるゲーム、というようなことを書きましたけど、あまり何も考えずに、極まった2Dグラフィックと場面場面に合ったBGMを楽しみながらクルージングしているだけでも、十分雰囲気に浸れます。それだけでも楽しいゲームというのは、なかなか出会えないんじゃないかな、なんて思ったりもしています。
バトルガレッガ Rev.2016 公式サイト Galleryより引用。ゲームスタート直前、夜明けのイメージか
もしも興味が出たのなら
前述の通り、もう30年近く前のゲームなので、ゲームセンターで遊ぶ、というのはあまり現実的ではありません(ないことはないのですが、ロケーションは非常に限られます)。ただし現代プラットフォームでは、PS4とXbox Oneで、20年越しに大幅パワーアップして移植されたものがありますので、そちらで触れることを強くおすすめします。当時のアーケード版を忠実に再現したモードのみならず、初心者向けのSuper Easyモード、システムはほぼ同じながらもう少し遊びやすいPremiumモード、といった追加要素もあり、そちらから触れて慣れていくこともできる、親切設計です。
公式サイト : バトルガレッガ Rev.2016 / M2 Shot Triggers
PS Store / Microsoft Store
というわけで、もう20年前以上に出た、レトロなシューティングゲーム、バトルガレッガの紹介と、いかにわたしがこのゲームに惚れ込んだか、というお話でした。またみなさん機会がありましたら、お会いしましょう!