フォーミュラEのシーズン10は,パスカル・ヴェアラインが王者に輝き,幕を閉じました。
この記事では,シーズン10に達成された記録や,記録と呼べるほどでもないトピックについて扱います。注記のないかぎり,フォーミュラE公式サイトにおける記載を根拠にしています。
生涯獲得ポイントについて
(1) ジャン=エリック・ベルニュ(1,133)がルーカス・ディ・グラッシを(1,045)を抜き,歴代1位に。二人目の通算1,000ポイントを達成した後,一気にFE史上トップに躍り出ました。
(2) ミッチ・エバンス(925)がサム・バード(885)を抜き,歴代4位に。トップ6でシーズン1からの参戦でないのはエバンス(シーズン3~)のみです。
(3) パスカル・ヴェアライン(569),ジェイク・デニス(568),ストフェル・バンドーン(534),ロビン・フラインス(520),ニック・キャシディ(519)の5名が500ポイントに到達しました。
デニスとキャシディはなんと4シーズンで500ポイント達成。ヴェアラインとバンドーンは6シーズン,フラインスは9シーズンでの達成です。
生涯獲得ポイントランキング(シーズン10終了時点)
ドライバー名 | 通算ポイント | |
---|---|---|
1 | ジャン=エリック・ベルニュ(S1-10) | 1,133 |
2 | ルーカス・ディ・グラッシ(S1-10) | 1,045 |
3 | セバスチャン・ブエミ(S1-10) | 991 |
4 | ミッチ・エバンス(S3-10) | 925 |
5 | サム・バード(S1-10) | 885 |
6 | アントニオ・フェリックス・ダ・コスタ(S1-10) | 801 |
7 | パスカル・ヴェアライン(S5-10) | 569 |
8 | ジェイク・デニス(S7-10) | 568 |
9 | ストフェル・バンドーン(S5-10) | 534 |
10 | ロビン・フラインス(S2-10) | 520 |
11 | ニック・キャシディ(S7-10) | 519 |
シーズン11では,エバンスがトップ3,ダ・コスタがトップ5に入る可能性があります。キャシディもトップ10に入ることが濃厚でしょうか。
ブエミとエバンスが1,000ポイントクラブに入りそうですね。
今年29ポイントのモルタラ(451),156ポイントのローランド(428)が500ポイントに届くかどうか。今年の勢いからすれば,ローランドの方が可能性が高いかもしれません。シーズンオフの移籍があるかどうかにも注目です。
過去に参戦していたドライバーでは,ダニエル・アプト(S1-6)の390ポイントがトップかと思います。
通算出走レースについて
ミッチ・エバンス(111)と,ロビン・フラインス(103)が100レースクラブ入りしました。エバンスは8シーズン,フラインスは9シーズンで達成です。
また,ニック・デ・フリースが4シーズン(S6-8・10)で50レースに到達しました。
シーズン11はエド・モルタラとストフェル・バンドーンが100レースを達成する可能性が高いと思われます。マキシミリアン・ギュンターも,全レース出走すればちょうど100レースを達成します。
また,ダン・ティクトゥム,ニコ・ミュラー,ノーマン・ナトーの50レースも目前です。サッシャ・フェネストラズも全戦出走すれば50レースに届きます。
各ドライバーの来期のシートも気になるところです。
連続シーズン表彰台記録について
ジャン=エリック・ベルニュが,シーズン1から10シーズン連続での表彰台を達成しました。ルーカス・ディ・グラッシは最高位9位に終わり,連続シーズン表彰台が9でストップしています。
ミッチ・エバンスがこれまでシーズン4から7シーズン連続で表彰台に立っており,来シーズン以降も更新の可能性があります。ちなみにサム・バードはシーズン1~7・9・10で表彰台を達成しています。
最年少出走・ポイント獲得について
※この節のみ,英語版Wikipedia「List of Formula E driver records」を参照しています。
テイラー・バーナードが19歳332日でモナコE-Prixに出走,初の10代参戦者となりました。同じく,バーナードが19歳346日でベルリンE-Prixにてポイントを獲得し,言わずもがな,初の10代のドライバーによる快挙です。
これまでの最年少出走者はシーズン1のマシュー・ブラバム(20歳270日),最年少ポイント獲得者はシーズン3のピエール・ガスリー(21歳158日)でした。
なお,今シーズンはポール・アロンも20歳97日でベルリンE-Prixに出走しており,これもブラバムを超える若年出走でした。バーナードは,バードの負傷による急遽の3戦出走であり,偶然ともいえる機会において,見事に結果を出しました。
その他,記録未満
・アントニオ・フェリックス・ダ・コスタが16ラウンド中8ラウンドでノーポイントでありながら,134ポイントを獲得。半数以上のレースで無得点に終わりながら,100ポイントを超えたのはダ・コスタが初です。
(※シーズン7ではニック・デ・フリースが15レース中8レースで無得点ながら99ポイントを獲得し,王者になっています)
・サム・バードが,サンパウロE-Prixで優勝しながら総合48ポイントに終わりました。シーズン6のアレクサンダー・シムス(49)を下回る,「優勝ドライバーの年間最低ポイント」を更新です。
・シーズン11で全レース完走したのはジャン=エリック・ベルニュ(139)とノーマン・ナトー(47)の2名でした。なお,「全戦完走」の最小ポイントは,シーズン3のアダム・キャロル(5)です。
(※シーズン6のオリバー・ターベイが1戦のみDSQの他はすべて完走し,0ポイントに終わっています。この年はNIOのマシンが弱すぎて,ターベイがスーパーポールに進出したことが,当該シーズンのニューストップ10に入ったほどです。そのレース,ターベイは惜しくも11位でした)
・ルーカス・ディ・グラッシが,シーズン10において五度11位に入りました。これまでの「年間11位記録」は,シーズン3・4のダ・コスタ,シーズン5のバード,シーズン7のブエミの三回(だと思います)。ちなみにシーズン10では,フェネストラズが三回11位に入っています。
・マクラーレンのサム・バードとジェイク・ヒューズがともに48ポイント。チームメイト同士で「同点」になったのは初。
(シーズン6のNIOにおけるオリバー・ターベイ,馬青驊,ダニエル・アプトが全員ゼロですが,通年のレギュラードライバー同士で同点なのは初です。ただしバーナードがバードの代打で3戦出走し,5ポイントを獲得しています)
・セルジオ・セッテ・カマラが参戦5シーズン連続で表彰台なし。デビューから66レース連続で表彰台なしも,最長を更新中です。(二番目はチームメイトのダン・ティクトゥムの48レース連続)
ジェオックス・ドラゴン(ドラゴン/ペンスキー)→NIOというチーム遍歴においては,むしろ胸を張ってよい記録だと思います。
ちなみにオリバー・ターベイ(NEXTEV・NIO)がシーズン1~3,シーズン5~8の7シーズンにおいて,表彰台に立っていません。チームを支え続けた勲章ですね。
とりあえず,現時点で調べられたのは以上です。
新規の記録が発掘できたら,また追記します。もし上記の情報にあやまりがあれば,ぜひご指摘ください。